概要
MacにはGitが初めからインストールされており、バージョンを確認すると『Apple Git』と表示されます。
もし『Apple Git』の表示がない場合、本ページの対応は必要はありません。
~ % /usr/bin/git --version
git version 2.39.2 (Apple Git-143)
標準でインストールされた『Apple Git』はバージョンが少し古いです。
しかし、『Apple Git』はコマンドでは、アップデートできません。
以下のページにある通り『Apple Git』のアップデートは、Xcodeのセキュリティアップデートとして提供されます。
よって、通常はユーザ側の任意のタイミングでアップデートはできません。
このページでは、『Apple Git』とは別に、最新バージョンのGitをインストールする方法をご説明します。
環境
モデル | MacBook Air (Retina, 13-inch, 2018) |
プロセッサ | 1.6 GHz デュアルコアIntel Core i5 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 617 1536 MB |
メモリ | 8 GB 2133 MHz LPDDR3 |
MacOS | Ventura 13.3.1 |
手順
現在のGitバージョンの確認
ターミナルを開き、下記コマンドを実行して、Gitのバージョンを確認します。
『Apple Git』と表示された場合は、標準インストールされたGitコマンドが使用されています。
~ % git --version
git version 2.39.2 (Apple Git-143)
Homebrewのインストール
本家のサイトの開いて、トップにあるコマンドをコピーしてターミナルで実行します。
インストールが完了するまでしばらく時間がかかります。
Gitのインストール
ターミナルで『brew install git』 を実行します。
~ % brew install git
==> Downloading https://formulae.brew.sh/api/formula.jws.json
############################################################################################################## 100.0%
==> Downloading https://formulae.brew.sh/api/cask.jws.json
############################################################################################################## 100.0%
==> Fetching git
==> Downloading https://ghcr.io/v2/homebrew/core/git/manifests/2.42.0
############################################################################################################## 100.0%
==> Downloading https://ghcr.io/v2/homebrew/core/git/blobs/sha256:9363a5d645af38968922ab9c1977dbd9253e9c65d1217823713
############################################################################################################## 100.0%
==> Pouring git--2.42.0.ventura.bottle.tar.gz
==> Caveats
The Tcl/Tk GUIs (e.g. gitk, git-gui) are now in the `git-gui` formula.
Subversion interoperability (git-svn) is now in the `git-svn` formula.
zsh completions and functions have been installed to:
/usr/local/share/zsh/site-functions
==> Summary
🍺 /usr/local/Cellar/git/2.42.0: 1,636 files, 49.4MB
==> Running `brew cleanup git`...
Disable this behaviour by setting HOMEBREW_NO_INSTALL_CLEANUP.
Hide these hints with HOMEBREW_NO_ENV_HINTS (see `man brew`).
~ %
これでインストール(アップデート)が完了です。
Gitのバージョンを確認する
インストールが完了したら、改めてGitのバージョンを確認してみます。
~ % git --version
git version 2.39.2 (Apple Git-143)
なぜか『Apple Git』のままで、バージョンは変わっていません。
もう一度インストールコマンドを実行してみても、バージョン 2.42.0 がインストール済みで最新だと言われます。
~ % brew install git
Warning: git 2.42.0 is already installed and up-to-date.
To reinstall 2.42.0, run:
brew reinstall git
Gitのインストール時の出力を見ると、Gitは以下のディレクトリにインストールされたようです。
〜
==> Summary
🍺 /usr/local/Cellar/git/2.42.0: 1,636 files, 49.4MB
しかし、whichコマンドの場所を調べてみると、上記のパスは表示されません。
% which git
/usr/bin/git
~ % which -a git
/usr/local/bin/git
/usr/bin/git
Gitのインストール先のィレクトリの配下を探っていくと、バージョン 2.42.0 の git コマンドを見つけました。
~ % ls /usr/local/Cellar/git/2.42.0
COPYING README.md etc share
INSTALL_RECEIPT.json bin libexec
~ % ls /usr/local/Cellar/git/2.42.0/bin
git git-receive-pack git-upload-archive scalar
git-cvsserver git-shell git-upload-pack
~ % /usr/local/Cellar/git/2.42.0/bin/git --version
git version 2.42.0
『/usr/local/bin/git』と今回インストールした バージョン 2.42.0 の git コマンドはシンボリックリンクになっていました。
~ % ls -la /usr/local/bin/git
lrwxr-xr-x@ 1 siba admin 28 9 1 00:40 /usr/local/bin/git -> ../Cellar/git/2.42.0/bin/git
このパスを環境変数『$PATH』に追加して、git コマンドで最新のGitを使えるようにしてあげる必要があります。
GitコマンドのPATHを通す
viで『/.zshrc』を開きます。
~ % vi ~/.zshrc
『 i 』を押下して、末尾に以下を追記します。
export PATH=/usr/local/bin/git:$PATH
以下のコマンドを実行します。
~ % source ~/.zshrc
改めて、Gitのバージョンを確認してみます。
~ % git --version
git version 2.42.0
表示されたバージョンが、最新バージョン 2.42.0 になっていることが確認できました。
環境変数$PATHの末尾にも、パスが追記されており、PATHが通っているのが確認できます。
~ % echo $PATH
/usr/local/bin/git:/usr/local/bin/git:/usr/local/bin:/System/Cryptexes/App/usr/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin:/var/run/com.apple.security.cryptexd/codex.system/bootstrap/usr/local/bin:/var/run/com.apple.security.cryptexd/codex.system/bootstrap/usr/bin:/var/run/com.apple.security.cryptexd/codex.system/bootstrap/usr/appleinternal/bin:/usr/local/bin/git
おしまい
これでGitのインストールと、インストールしたGitを使うための設定が完了です。
ちなみに、最初にwhichコマンドで表示されていた方のgitコマンドを実行すると古い方のバージョンが表示されます。
上書きされた訳ではなく、コマンド実行時の参照先が変わっただけなので、注意しましょう。
~ % /usr/bin/git --version
git version 2.39.2 (Apple Git-143)